大宅壮一全集 第10巻 日本の企業

書誌情報

昭和56年  1月25日発行(1981)
著作者 大宅壮一
発行者 近藤恆夫
印刷者 澤村嘉一
印刷所 凸版印刷
発行所 蒼洋社
発売元 英潮社
13.8cm×19.6cm(ハードカバー 函入〈14.4cm×20.6cm〉)、本文458頁

 
目次

写真:諏訪・精工舎工場見学,右後方は三鬼陽之助(昭和40年)
写真:車中の著者(昭和33年夏)
写真:「どたんば」撮影中の内田吐夢監督と(東映・東京撮影所・昭和32年秋)
写真:日本航空・羽田見学(ノンフィクション・クラブ,昭和44年夏)
写真:織物工場(昭和32年頃)
写真:キャノン工場(昭和32年夏)
写真:「日本の企業」-『週刊朝日』連載 第一回の本文と最終回の表紙

日本の企業
 キャノン 世界的水準のカメラ工業
   “カメラ菌”
   観音さま
   すばらしい躍進
   五百万台のカメラ

 八幡製鉄 世界第八位の生産力
   百万石の“製鉄藩”
   世界一の増産ペース
   「宿老」と“製鉄勲章”
   文武両道の“八幡藩

 松下電器 急膨張したナショナル教
   神器ブーム
   “お光さま”松下社長
   最高の本部長会議

 東洋レーヨン 日本一のもうけ会社
   “室町通産省”
   “暁の産業”
   利益金五十四億
   魔法の糸
   もうかる一方

 トヨタ自動車 中京的商法の勝利
   伸びる一方
   東洋のデトロイト
   トヨタ・デパート
   豊田財閥の大黒柱

 王子製紙 新聞用紙の生産日本一
   啄木の苫小牧ルポ
   七つの日本一
   監獄部屋が生んだ文化
   愛林一筋の社風

 雪印乳業 精神主義と営利主義
   発足は製酪販売組合
   明治、森永と販売合戦
   “酪農教教祖”黒沢酉蔵
   会社員が禁酒禁煙

 東映 専属館も結ぶ“感激一家”
   日本映画界独走
   火事場のような忙しさ
   現代劇にも野心作
   大日本映画党

 富士銀行 “前だれ主義”の庶民性
   安田善次郎立志伝
   日本一になった理由
   初代直伝の進取性

 寿屋 古さが強みの洋酒
   洋酒はなぜ売れる
   昔は売れなかった
   ブレンドの割合は秘密
   阪僑の実例

 東通工 自信満々の“戦後派”
   デンスケ“大当り”
   世界最小のラジオ
   興味ある人間構成
   日本企業に希望を

 出光興産 政商、軍商、賭商
   “神業工事”徳山製油所
   “いくさの神のお導き”
   出光の商売哲学
   “人間主義”の会社

 東洋工業 日本的な三輪トラック
   日本の特産物
   標示器ノイローゼ
   給料日は半ドン
   広島人の郷土意識

 日本製鋼 機械も製品もすべて“大番”
   “軍国日本”の盛衰史
   ジャイアント工場
   百九十三日の大争議

 日立製作所 重工業のデパート
   “日立精神”の発足
   社員の博士六十九名
   極小から極大まで
   財界の第三勢力

 玩具工業 アメリカ大衆の人気次第
   オモチャ輸出ブーム
   出版業と似た企画合戦
   “オモチャ人口”の構成
   次は人工衛星待ち

 国策パルプ 異色の経営陣
   共産党出身の重役
   パルプ・ブーム
   堂に入った労組対策

 三菱商事 “忠臣”が復興した財閥
   お家改易に病雁の心境
   社長五十人が再合同
   活躍する海外支店
   復興しない岩崎家

 電電公社 半官半民としては良い方
   サービスがあたりまえ
   性格不明の“公社”
   オートメ化と失業

 野村証券 証券民主化の波にのる
   株式市場の性格一変
   四大証券とは?
   目ざましい進出ぶり
   小西行長的社長

 凸版印刷 二代続きのワンマン社長
   三社の勢力消長
   “出張作家”の常連
   特殊印刷とグラビア
   画をかくワンマン社長

 三越 ゆるがぬ“獅子の座”
   三百年来の王座
   一日の売上げ一億
   独創的な営業政策
   宣伝文句の変遷
   上昇する岩瀬株

 日本航空 ニッポン娘で大当り
   驚異的発展
   東洋趣味とおしぼり戦術
   パイロット養成の苦心
   高い座席利用率
   手カセ足カセ会社

 NHK われこそ国民の放送局
   不思議な受信料制度
   聴取者という主人
   未解決の会長問題

 ドレメ 驚異的な利益率
   洋裁学校は日本特産
   ドレメと文化
   チェーン・スクールで地固め
   理事長・院長の夫婦コンビ

 魚河岸 新聞社と似た気風
   ひしめく仲買人
   魚のスターたち
   “一番河岸”から“場さらい”まで

 飯野海運 俣野社長の手腕と幸運
   名門を食った雑兵
   電子計算器的な男
   “昭和の岩崎弥太郎”

 日本銀行 金融界の消防署
   金のお城
   君臨する総裁
   タブーだらけ

 電通 広告界のマンモス
   大量広告時代
   極端な能率主義
   社長の人情主義

 帝国石油 起死回生の天然ガス
   八円から百三十円まで
   今や“帝石ガス会社”
   いつまで続く?ガス・ブーム

 武田薬品 お店風の近代企業
   二十五分毎に新薬誕生
   道修町の御三家
   共食いで不安定な業界

 清水建設 果たして世界的水準か
   すごいビル・ラッシュ
   建築でリード
   発展の原因は?
   世界的水準には達しない

 岩波書店 第二の文部省
   出版農業説の代表
   岩波茂雄の素描
   “大地主的出版社”

 「燕」の洋食器 生死の境を往来
   安い日本製食器
   家族ぐるみの家内工業
   斜陽化する理由

 横山町問屋街 食うか食われるか“商業国技館”
   破天荒だった週休制
   江戸から東京へ
   血よりも家業

 近鉄 国鉄との激しい攻防戦
   本職では選手権保持者
   観光、通勤、買出し路線
   前途に四つの問題

 資生堂 銀座と歩む八十五年
   女性の盲点
   化粧の歴史
   銀座とともに発展
   新興宗教“花椿教”
   東洋一の美容院

 東京海上火災 日本一高給を払う会社
   中世の昔から
   天才経営者・各務鎌吉
   伸びる新種保険
   人間の盲点つく

 秩父セメント ストを知らぬ“汗愛主義”
   世界第四位
   秩父の“山工場”
   徹底した勤倹貯蓄
   対照的な新旧の両工場
   社長室のない本社

 服部時計店 市場独占の強味と弱味
   時計の好きな日本人
   昔は貴重品
   弱点となった長所

 東京電力 納得ゆかぬ“逆立ち料金”
   増大する電力需要
   借金の多いのも日本一
   公益事業とはいうが

 日本楽器 ソ連へ行く日本製ピアノ
   ピアノは嫁入り道具
   “納屋工場”製ピアノ
   歴史的大争議
   日本の音楽教育

 新三菱重工 “十種競技会社”
   軍用機の生みの親
   サンタンたる戦後の歩み
   F86からグラマンへ
   製品四百種
   ストのない会社

 麒麟麦酒 キリン児“同族会社”
   軽飲料時代
   ビールと女性ホルモン
   キリン公社

 富士フイルム カメラ・ブームとともに
   コンテスト族
   戦争ごとに伸びる
   “科学神社”奥の院
   フィルム界異変

 東芝 バランスのとれた総合メーカー
   熱病的な電化熱
   製品三千五百種
   戦国時代的様相

 帝国ホテル “観光日本”一枚看板
   ホテルと旅館
   豪華な新館
   “招待外交”に一役

 東京の地下鉄 両棲動物的企業体
   公私の使いわけ
   生き残り営団
   土建コンテスト
   ジレンマの経営

 住友金属鉱山 残る家父長的性格
   三等重役と四等社員
   結束固い住友財閥
   “住友領”新居浜市
   金銀で支える銅不振

 ビクター 松下電器のショーウィンドウ
   電機メーカーの進出
   次々とかわったダンナ
   キャビネット・デラックス

 第一物産 「三井ジャイアントの成立」
   年間五千億円の商売へ
   強い独立意識
   大レースに優勝
   “愛される物産”へ

 住宅公団 世界一の大家主
   おくれる住宅の復興
   三本建ての建設計画
   個人主義化と集団化
   用地獲得で苦労する

 森永と明治 四つに組んだ両横綱
   タバコをしのぐ菓子消費額
   両社とも「チョコレート日本一」
   宣伝費も同額

 神武景気からナベ底へ 日本の企業一年半の移り変り
   民族の若さ、たくましさ
   日本の企業を分析すれば
   社長族の色わけ
   日本企業界の弱点

〈解説〉「日本の企業」をめぐって(扇谷正造)

月報5
  細かい神経の持ち主(千葉雄次郎)
  「タレをつくるんだね」 ―大宅雑談教室から― (入江徳郎)
  大宅賞、大家賞となる(山崎朋子)
  肌で感じた大宅エッセンス(南川三治郎)

全集 第9巻 サンデー時評Ⅱ

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