大宅壮一全集 第18巻 世界の裏街道を行くⅠ

書誌情報

昭和56年  5月25日発行(1981)
著作者 大宅壮一
発行者 近藤恆夫
印刷者 北島義俊
印刷所 大日本印刷
発行所 蒼洋社
発売所 英潮社
13.9cm×19.6cm(ハードカバー 函入〈14.4cm×20.6cm〉)、本文450頁

 
目次

写真: ウソをついたものが手を入れるとかみとられるという半人半魚の海神トライトン(ローマ・昭和29年)

写真:アラブ人のハチマキ,インディアンのポンチョをつけ,アフリカ人の食器とブラジル人のマスコットを手に(「お宝拝見」『週刊文春』・昭和37年)

写真:避難民の子供と(カラチ・昭和29年)
写真:バビロンの遺跡(イラク昭和29年)
写真:初外遊への旅立ち(昭和29年)
写真:ベニスの裏通り(著者撮影・昭和29年)
写真:「世界の裏街道を行く」初版本 昭和30年(文藝春秋新社版)



世界の裏街道を行くⅠ 中近東・ヨーロッパ・アフリカ編
  第一部 中近東諸国

  『千夜一夜の世界』の玄関・パキスタン
    大東亜共栄圏の夢の跡
    役人と乞食の町、カラチ
    躍進する繊維産業
    “一夫多妻”も財力

  近東の小国・レバノン
    国際色豊かなベイルート

  革命の国・シリア
    ヴェールの美人とカメラ受難
    要人はほとんど軍人上がり

  汚職天国・イラン
    甚しい貧富の差
    お役人様々の国家
    砂糖をめぐる国際贈賄合戦
    悪評の日本綿布
    婦女売買と街頭詩人
    生活文法の“コーラン”
    “盗めば斬る”の原則

  洪水と砂漠の国・イラク
    私兵二十万の大地主
    荒涼たるバビロン遺跡
    野天のナイト・クラブ

  新興アラブ諸国の盟主・エジプト
    年三千人をのむナイル
    財界を握るユダヤ人
    女と料理の質量関係

  戦争の強い国・トルコ
    空港の雲助とキッス・コンクール
    しみ透るフランス文化
    目もくらむ金色の王宮

  ユダヤ王国・イスラエル
    偉大なる風貌の男たち
    国営給水地下工場
    宗教の問屋街・エルサレム
    完全な共産主義の共同農場

 第二部 ヨーロッパ諸国
  インフレに悩むギリシア
    汚い紙幣と靴みがき
    “石の文明”アクロポリス
    古代の競技場を見る
    上映される排日映画

  平然たる共産国・ユーゴスラビア
    ヤミ屋までが国営
    ここでもさかんな柔道熱
    革命貴族の悲劇・ジラス事件
    生き残る旧支配階級
    街を埋めるカーキー一色
    東洋風の農民たち
    遠交近攻の実践国

  欧州の最貧国・イタリア
    スピード狂のお国柄
    生活水準は日本の倍
    「ローマの休日」異聞
    金ピカのバチカン王国
    ナポリ、ボンベイ漫歩
    地下の大密室カタコンブ
    アメリカ援助の労働者アパート

  人口一万五千の独立国・サンマリノ
    賽銭が国の財源
    共産主義のお寺
    一日で十分のベニス

  絵葉書の国・スイス
    国際列車の花カード
    四十万の平服常備軍
    天理教の国際版MRA本部
    贅沢させるのがMRA式“洗脳”
    新しいバァチカン・国連本部

  計画的復興を進めるドイツ Ⅰ
    長屋アパートのライカ本舗
    浮浪児に見る二つのドイツの悲劇
    深刻な青年層の不安

  うまい対ソ政策のフィンランド
    お伽噺の森の国
    勤勉できれい好きの国民
    微妙な便宜的親ソ主義
    ミルクのみ百姓とスポーツの英雄

  北欧の中立国・スエーデン
    二つの世界の公平なアンパイア

  素晴らしい農業国・デンマルク
    三億ドルで買われた処女国家
    スイス以上のホテル難
    夜空に輝くイルミネーション
    日本趣味のデンマルク土産

  計画的復興を進めるドイツ Ⅱ
    国中が楽しむ全裸運動
    ラインのほとりは交通機関の博覧会
    情ない“ボンション族”
    日本以上のアプレ現象
    戦禍生々しいボン大学

  中産階級の国・オランダ
    色彩豊かなオランダ家屋
    貧富の差がない“自転車階級”
    気楽なユリアナ女王
    学ぶべきその国策

  霧の国・イギリス
    対ソより悪い対日感情
    後味の悪いロンドン塔
    有料イスで日向ぼっこ
    ガス灯のビル街

  “文化人”憧れのフランス
    困った連中“パリ病患者”
    柔道まかり通る
    高い物価と社会保障
    パリの宵街あれこれ

  独裁者の国・スペイン
    ヨーロッパの中国
    古城トレドの風物詩
    分裂の兆し見せるフランコ政権
    各地でさかんな反英デモ
    いたる所にブドウ酒とカルメン
    第三勢力への野心

  東京都の四分の一の共和国・アンドラ
    仏・西両国が共同管理

  ブラジルの故里・ポルトガル
    第二次大戦で儲けた新市街
    物議をかもすゴア問題
    偉大なサラザール博士
    最後の王城にて
    風流譚的民族
    市内のケーブルカー

 第三部 アフリカ大陸
  物情騒然たる北アフリカ
    テロの世界的本場・カサブランカ
    宥和策に必死のフランス
    外人部隊に米軍進出
    サービスの悪い国策会社

  新大陸への足がかり・西アフリカ
    黒人の街・ダカール
    親日家のインテリ黒人
    大洋越えて南米へ

 あとがき

 第四部 小国
  バランスのとれた社会主義・オーストリア
    裏外交がお家芸
    生活水準の高い農民
    音楽が最大の“産業”
    明るく享楽的な国民
    月はアルプスからのぼる

  万年饑饉の国・エール
    ショーに人気なし
    人口の減る妙な国
    張り切る日本人
    工場誘致に大サービス
    教会が労組をリード
    警察官や軍人の産地
    古典と近代が並立
    見習うべき上院制度
    気味の悪い裏通り

  反共陣営の“総本部”バチカン
    アメリカに劣らぬ強国
    キリスト教はサディズムか
    おもしろい法王選挙
    あくどい権力誇示
    巧妙な布教政策
    市民権は千人に限定
    個人崇拝の総元締め

〈解説〉「文化」とはなにか 大宅氏の複眼が探るもの(深田祐介)
  時代を越えた「複眼」の魅力
  複眼の発想を支える、ノウ・ハウ
  裏街道の豊富な情報量
  文化とはなにか

月報14
  大宅先生と漫才(飯沢匡)
  名人に助言をした大宅さん(倉島竹二郎)
  大宅先生の残されたもの(三枝佐枝子)
  目撃した教訓(渡部雄吉)


全集 第17巻 外地の魅惑

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