辺見じゅん

辺見じゅん(2023120日)

 映画『ラーゲリより愛を込めて』が大ヒット公開中です。二宮和也さんが演じるシベリアで捕虜となった山本幡男さんの、過酷な抑留生活の中でも希望を捨てず、日本にいる家族を思い、常に前向きだった生き様が描かれた物語です。山本さんの芯はあるけれど柔らかい精神と、彼を慕う男たちが起こす奇跡に胸が熱くなります。

 この『ラーゲリより愛を込めて』は第21回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』が原作になっています。今回はその著者である作家で歌人の辺見じゅんさんの雑誌記事索引を紹介します。

※今回紹介した索引の雑誌記事コピーをご希望の場合は、遠隔地の方でも資料配送サービスで取り寄せることが出来ます。 どうぞご利用下さい。


 1990年の第21回大宅壮一ノンフィクション賞は異例の3作受賞の年でした。

No1     

記事種類

タイトル  第21回大宅壮一ノンフィクション賞発表 辺見じゅん『収容所から来た遺書』 中野不二男『レーザー・メス 神の指先』 久田恵『フィリッピーナを愛した男たち』

 

執筆者  沢地久枝/柳田邦男/立花隆/深田祐介/他

雑誌名  文藝春秋

発行日  199005

ページ  330-337

備 考  中野不二男[ジャーナリスト]久田恵[フリーライター]辺見じゅん[作家]大宅壮一ノンフィクション賞,ノンフィクション賞,賞,大宅賞

 

No2     

記事種類

タイトル  もう1つのドキュメント 収容所で生れた奇跡

 

執筆者  辺見じゅん

雑誌名  文藝春秋

発行日  199005

ページ  338-342

備 考  辺見じゅん[作家]

 『文藝春秋』19905月号に掲載された選評で立花隆さんは「選考委員全員が二重丸をつけ(これだけ意見が一致することは滅多にあることではない)、文句なしの受賞となった。この作品については、あれこれ賛辞をここに書きつらねるより、ぜひご一読ありたいと申し上げておく。」と絶賛しています。

 

 映画では北川景子さんが演じる妻・山本モジミさんのシーンも多くありましたが、『収容所から来た遺書』ではそれほど多く書かれているわけではありません。

No3     

記事種類

タイトル  2050年のメディア 23回 『ラーゲリより愛を込めて』原作秘話。なぜ妻は消されたのか 辺見じゅん『収容所から来た遺書』のもととなるルポと単行本を担当した平尾隆弘と藤沢隆志に聞く

 

執筆者  下山進

雑誌名  週刊朝日

発行日  20230113

ページ  40-41

備 考  辺見じゅん[作家]人脈

 『週刊朝日』2023113日号の下山進さんのコラムでは文藝春秋でルポの担当をした平尾隆さんと単行本の担当だった藤沢隆志さんに聞いていました。記事によると「夫婦の物語を軸にして書くと作品としては分裂してしまうかもしれない」「驚くべき遺書の物語を可能にした山本とはどいう人間だったのか、それをラーゲリを生き延びた男たちの証言で彫刻していくことに辺見さんは全精力を傾けた」と語ったそうです。たしかに原作はスベルドロフスクやハバロフスクの収容所で山本幡男さんと関わった多数の人の思い出で構成されています。

 

 辺見さんは角川書店の創業者・角川源義さんの長女で、角川春樹さんは彼女の弟です。

No4     

記事種類

タイトル  ポルノ主婦作家と大型女流新人 小説より奇なる、売り出し方のフィクション部分

 

執筆者 

雑誌名  サンデー毎日

発行日  19750126

ページ  129-131

備 考  辺見じゅん[作家]

 『サンデー毎日』1975126日号は辺見じゅんさんの人名項目で最古の記事で『呪われたシルク・ロード』を出版したころのものです。記事によると雑誌『野性時代』の編集後記で「大型女流新人」と絶賛されているが、これはオーバーな表現だ。角川書店の雑誌なので家族の影響で実力以上に持ち上げられているのだろうというようなことが記載されていますが、後の活躍で考察力や文章力は本物であり、決してオーバーな表現ではなかったことを証明します。

No5     

記事種類

タイトル  人物ホットライン 文学賞、短歌賞、大宅賞をものにした鬼才

 

執筆者 

雑誌名  宝石(光文社)

発行日  199005

ページ  69

備 考  辺見じゅん[作家]

 

No6     

記事種類

タイトル  不沈戦艦の「最期」に新事実を掘り当てた辺見じゅんの新田次郎賞「男たちの大和」

 

執筆者  横山政男

雑誌名  週刊朝日

発行日  19840615

ページ  170-171

備 考  辺見じゅん[作家]

 『宝石』19905月号では『収容所から来た遺書』で大宅壮一ノンフィクション賞、『男たちの大和』で新田次郎文学賞、歌人としても『闇の祝祭』で現代短歌女流賞を受賞したことが掲載されています。記事では「文学とノンフィクションと、短歌という三つの分野で大輪を咲かせた稀有な存在」と記載されています。

 

 父・角川源義さんについて語った記事です。

No7     

記事種類

タイトル  悠々として急げ 特別エッセイ 父の1冊、母の1冊を選べといわれたら 勝者ではなく父の処女作のこと 角川源義『悲劇文学の発生』青磁社

 

執筆者  辺見じゅん

雑誌名  文藝春秋臨増

発行日  20061030

ページ  168-169

備 考  角川源義[俳人,国文学,角川書店]家族辺見じゅん[作家]家族

 『文藝春秋臨増』20061030日号では辺見さんが源義さんの処女作である『悲劇文学の発生』を紹介し、源義さんが国文学者の師・折口信夫さんの影響を受けたことや、一兵卒としては勇敢ではなかったが出版事業は苦労の末に成功したこと。その代わりに学問への道を断念したことを大変無念に思っていた、といったことが語られています。 

 

 「辺見じゅん」という名前について掲載した記事もありました。

No8     

記事種類

タイトル  角川事件独占スクープ第2弾 姉・辺見じゅんが実弟「春樹逮捕」に詠んだ短歌14首の怨憤

 

執筆者 

雑誌名  サンデー毎日

発行日  19931003

ページ  26-29

備 考  角川春樹[角川春樹事務所]家族辺見じゅん[作家]家族

 『サンデー毎日』1993103日号は角川春樹さんが逮捕された時期に詠んだ短歌が掲載されています。その記事の中で二人をよく知る知人が「春樹は小説が書きたかったんです。“辺見じゅん”はもともと春樹の小説家としてのペンネームでした。それを姉にプレゼントしたわけです。“辺境を見るという意味ですね。」と語ったそうです。名前についてのエピソードは他に見つけることができませんし、その知人の名前も記載されていませんので真偽の程はわかりませんが、そんな記事もありました。 

 

 辺見さんは出版社も作っています。

No9     

記事種類 インタビュー

タイトル  出版再考 このままでいいのか、わるいのか? 私はなぜ「小さな本屋」をはじめたのか 出版社「幻戯書房」、父・角川源義の精神を受け継ぐ、他

 

執筆者  辺見じゅん

雑誌名  本とコンピュータ

発行日  200503

ページ  74-80

備 考  辺見じゅん[作家]金

 『本とコンピュータ』20053月号では2002年に設立した出版社「幻戯書房」と父・角川源義さんについて語っています。記事によると源義さんは晩年、もう一度、出版社をつくりたがっていた。角川書店の創業時のように2、3人で自分の好きな本だけを出したいと言っていた。その思いを受けついで「幻戯書房」を設立したそうです。丁寧な出版を心がけていて「私が書いてほしい著者の本であるとともに、その著者がいちばん書きたいことを書いてもらえたらと願っています」と語っています。

 

 辺見じゅんさんの創作したものや活動には、すべて偉大な父・源義さんへ寄せる哀切な思いが底流にあるようです。そんな辺見さんだからこそ父が影響を受けた民俗学のように事実を一つ一つ紐解き、死者たちの声を語り継ぐことができたのかもしれません。

 

 辺見じゅんさんの記事索引、その他です。

No10   

記事種類 書評

タイトル  Bookwormの読書万巻 名作コンパス テーマ・墓 監視兵の目を盗み墓標に記した氏名と生年月日 辺見じゅん『収容所から来た遺書』文春文庫

 

執筆者  梯久美子

雑誌名  週刊新潮

発行日  20220324

ページ  118

備 考  辺見じゅん[作家]

 

No11   

記事種類

タイトル  弔辞 鮮やかな人生に鮮やかな言葉 辺見じゅんへ いのちの距離

 

執筆者  森村誠一

雑誌名  文藝春秋

発行日  201412

ページ  261-262

備 考  辺見じゅん[作家]人脈、訃報森村誠一[作家]人脈

 

No12   

記事種類

タイトル  蓋棺録 辺見じゅんさん 偉大な父を尊び、本を愛し、死者たちの声を語り継いだ作家

 

執筆者  与那原恵

雑誌名  婦人公論

発行日  20111122

ページ  162

備 考  辺見じゅん[作家]訃報、略歴

 

No13   

記事種類

タイトル  蓋棺録 ノンフィクション作家・歌人・辺見じゅん

 

執筆者 

雑誌名  文藝春秋

発行日  201111

ページ  520-521

備 考  辺見じゅん[作家]訃報

 

No14   

記事種類

タイトル  私が愛する日本 日本人の美学 アムール句会 シベリアの日本人俘虜たちのあいだで催されていた句会、山本幡男

 

執筆者  辺見じゅん

雑誌名  文藝春秋臨増

発行日  20060815

ページ  54-55

備 考  辺見じゅん[作家]シベリア抑留,ソ連引揚げ,ソ連抑留,シベリア強制収容所

 

No15   

記事種類

タイトル  オヤジとおふくろ 初めて母と呼んだ日。

 

執筆者  辺見じゅん

雑誌名  文藝春秋

発行日  200607

ページ  211

備 考  辺見じゅん[作家]家族

 

No16   

記事種類 書評

タイトル  綱島理友の古本野球史 74回 戦後のプロ野球の顔。大下弘の評伝と言えばこの本の右に出る本はない。辺見じゅん「大下弘虹の生涯」新潮社 1992年刊

 

執筆者  綱島理友

雑誌名  週刊ベースボール

発行日  20050905

ページ  63

備 考  大下弘[野球]辺見じゅん[作家]

 

No17   

記事種類

タイトル  大宅賞の「而立」 受賞者たちのつぶやき 待ちつづけた妻の歳月 受賞作『収容所から来た遺書』(文春文庫・刊)

 

執筆者  辺見じゅん

雑誌名  本の話

発行日  199907

ページ  22-23

備 考  辺見じゅん[作家]

 

No18   

記事種類 対談

タイトル  語り継ぐ太平洋戦争 桜の季節に散っていった特攻隊員が戦後残したもの

 

執筆者  神坂次郎/辺見じゅん

雑誌名  Voice

発行日  199604

ページ  166-175

備 考  神坂次郎[作家]辺見じゅん[作家]特別攻撃隊,特攻隊,大東亜戦争,太平洋戦争

 

No19   

記事種類

タイトル  30代の出会い 夢ありて楽し 『呪われたシルク・ロード』出版の頃

 

執筆者  辺見じゅん

雑誌名  ミセス

発行日  199604

ページ  192-193

備 考  辺見じゅん[作家]

 

No20   

記事種類 対談

タイトル  50年目の鎮魂 『レクイエム・太平洋戦争』と『虹の岬』 国民一人ひとりの戦争体験を確かめることの大切さ

 

執筆者  辻井喬/辺見じゅん

雑誌名  Voice

発行日  199501

ページ  126-134/137

備 考  堤清二、辻井喬[西武セゾングループ,作家]辺見じゅん[作家]

 


 

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