タイパ (2022年11月18日)
最近、Z世代を中心にサブスクリプションサービスなどの映画やドラマを倍速視聴したり、映画の内容を10分程度にまとめた「ファスト映画」で、話題の映画を見たことにする傾向があります。
スピードを求めるこれらの行動はタイムパフォーマンスを短縮して「タイパ」と呼び、「タイパが良い」「タイパを向上させる」といった使われ方をします。しかし「コストパフォーマンス」を「コスパ」と短縮するのとは違い、「タイパ」と短縮した場合は少し違った意味合いが含まれるようです。
仕事や家事の時短を意識するのはこれまでにもよくあることでしたが、余暇にまで時短を求めるというのはおもしろい現象です。
今回は「タイパ」や「動画倍速視聴」に関連する雑誌記事を紹介します。
※今回紹介した索引の雑誌記事コピーをご希望の場合は、遠隔地の方でも資料配送サービスで取り寄せることが出来ます。 どうぞご利用下さい。
まずは「倍速視聴」を多用する傾向を紹介している記事です。
No1
記事種類
タイトル サンキュータツオの現代を読み解くコトバ 3回 「タイパ」
執筆者 サンキュータツオ
雑誌名
サンデー毎日
発行日
2022年11月06日
ページ 85
備 考 国語,日本語,連載
No2
記事種類
タイトル 経済ニュースのバックヤード 166回 「倍速視聴」という動画コンテンツのトレンドをどう考えるべきか?
執筆者 坂口孝則
雑誌名
週刊プレイボーイ
発行日
2022年06月20日
ページ 93
備 考 マルチメディア,映像配信
No3
記事種類
タイトル 脚本家も仰天 映画・ドラマを「早送り」でしか見られない若者たちの将来 20代の半数が経験ありだって ※定額制動画サイトの普及とSNSの影響、倍速視聴がさらに進化したファスト映画、他
執筆者 稲田豊史/小寺和久/大森一樹/与那覇潤
雑誌名
週刊現代
発行日
2021年07月17日
ページ 146-148
備 考 インターネット,マルチメディア,ソーシャルネットワーキングサービス,映像配信,SNS,ソーシャルメディア
『週刊現代』2021年7月17日号によると倍速視聴をする傾向の背景には2つあるそうです。定額制の動画サイトが普及し膨大な数の作品を見られるようになった。そして主にSNSの友人やグループ内で話題の動画を「見ておかなければいけない」という空気感が生まれているとのこと。話題の作品は見ておきたいが時間がないという矛盾を解決するのが倍速視聴だそうです。
また他の理由としては『週刊プレイボーイ』2022年6月20日号の坂口孝則さんによると、是非の問題ではなく以前と違って機器の機能が向上し、倍速視聴ができる環境になったことが大きいと指摘しています。確かにビデオテープの頃から早送りは使っていましたし、その機能があれば昔から使っていたのかもしれません。
『サンデー毎日』2022年11月6日号のサンキュータツオさんの見解によると、若者は見るべき動画が多くあり、仲間の話題についていくのが大変なので倍速視聴をしている。ただ「話題についていかなくてもいい」と割り切る人も自分の趣味の赴くままにしていると大量に時間を消費してしまうので、やはり倍速視聴をしてしまうのではないかと語っています。
「タイパ」を意識した、いくつかの企業の記事が『日経ビジネス』2022年1月10日号にありました。
No4
記事種類
タイトル 細切れ・簡単・時短がキーワード 「タイパ」時代に勝つマーケティング新潮流 ※ファスト映画に代表されるタイムパフォーマンス重視の消費傾向、「タイパ」戦略導入企業
執筆者
雑誌名 日経ビジネス
発行日 2022年01月10日
ページ 42-47
備 考 消費者,流通,消費,市場調査,マーケティング
この記事では、2021年11月に3人の男性が「ファスト映画」を無断で動画投稿サイトに公開して有罪判決がでた裁判に触れつつ、なぜ短時間で結論だけを知る、一見“味気ない”コンテンツ消費が拡大するのかを解説し、それにいち早く気付いた企業の新しい取り組みを紹介しています。
「タイパ」と少々関連しているような現象が音楽の分野でもあります。
No5
記事種類
タイトル 「ギターソロ」&「イントロ」斜陽の時代 「ファスト文化」で存在感薄まる? 「超絶テク」もう古い? ギターは“薬味”へ 鮎川誠さん「僕は、いいんじゃないかと思います」
執筆者 鮎川誠/石沢瑤祠/シマあつこ/名倉七海/原田和典/他
雑誌名
週刊朝日
発行日
2022年08月26日
ページ 28-30
備 考 ポピュラー音楽,軽音楽
No6
記事種類 インタビュー
タイトル an・an Entertainment News Music 「Mega Shinnosuke」 タイムパフォーマンスを重視したサブスク世代のアルバム観とは?
執筆者 Mega Shinnosuke
雑誌名
an・an
発行日
2021年09月22日
ページ 126
備 考 ‖Mega Shinnosuke[ミュージシャン]略歴‖
『週刊朝日』2022年8月26日号の記事によると、昨今長いギターソロが流れる楽曲が激減。またYOASOBIのヒット曲「夜に駆ける」のようにイントロなしでいきなり歌から入る楽曲が目立っているそうです。
また『an・an』2021年9月22日号のメガシンノスケさんのインタビューでは、「サブスクでアルバムを聴く時は真っ先にスクロールして何分のアルバムか確認するんです。1時間超えていると“うわあ”ってなる。」と語っていて、自身のアルバムは39分にしたそうです。
このような流れに多くの雑誌記事では「あまり賛成できない現象だ」「製作者が気の毒だ」という趣旨の扱い方をしていますが、かなり批判的な記事もありました。
No7
記事種類
タイトル 早送りで見る人は理解が「スベってます」 効率重視の落とし穴! ドラマや映画にバラエティー。何でも倍速視聴してしまうあなたの脳は、実はちょっと…
執筆者 加藤俊徳/久保帆奈美/他
雑誌名
女性セブン
発行日
2022年02月24日
ページ 121-123
備 考 脳,マルチメディア,映像配信
『女性セブン』2022年2月24日号では倍速視聴経験者数の統計を掲載しながら、「加藤プラチナクリニック」の加藤俊徳さんは「理解系脳番地」の働きが倍速再生についていけない可能性があり、集中して視聴しているように思っても理解できていない場合があると指摘しています。
関連する書籍もありました。
No8
記事種類
タイトル これは、アレだな 100回 こんなにスロウでいいですか ※『映画を早送りで観る人たち』(稲田豊史 光文社新書)を読んで気になったこと、宮沢章夫さんの『時間のかかる読書』(河出文庫)
執筆者 高橋源一郎
雑誌名
サンデー毎日
発行日
2022年11月06日
ページ 38-39
備 考 ‖高橋源一郎[作家]連載‖
No9
記事種類
タイトル Book Review 読書日記 ブレイディみかこ 早く消費したい節約主義 あぶり出す現代文明論 ※稲田豊史『映画を早送りで観る人たち』、石井光太『ルポ 誰が国語力を殺すのか』
執筆者 ブレイディみかこ
雑誌名
週刊エコノミスト
発行日
2022年10月18日
ページ 55
備 考 ‖ブレイディみかこ[ライター,保育士]連載‖
No10
記事種類 書評
タイトル 本の時間 新刊書評 稲田豊史『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ コンテンツ消費の現在形』光文社新書 「会話のないシーンは即飛ばす」新しい視聴習慣を徹底分析
執筆者 河崎環
雑誌名
プレジデント
発行日
2022年07月29日
ページ 113
備 考 映画
No11
記事種類 書評
タイトル 気になるあの本この本 ベストセラーを読み解く 稲田豊史『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ コンテンツ消費の現在形』光文社新書 孤立を恐れる今どきの若者たちの実態
執筆者 永江朗
雑誌名
アサヒ芸能
発行日
2022年06月30日
ページ 91
備 考 映画
3番目に紹介しました『週刊現代』2021年7月17日号にも発言していました稲田豊史さんの『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ コンテンツ消費の現在形』という書籍です。『サンデー毎日』2022年11月6日号で高橋源一郎さんは「以前から気になっていた本 ~省略~ いや、おもしろかった。まったく新しいことに気づいたというより、なんとなく思っていたことがすべてみごとに言語化された感じがする」と語っています。
「タイパ」に対して批判するまでいかなくても、少々皮肉ったりするような記事は多数あります。しかし若者の中には「倍速視聴」を多用しながら、気に入った動画は何度も見るというケースもあるようです。「倍速視聴」や映画の内容を解説したコンテンツも、深く鑑賞する「好きな動画を探す作業」だと思えば少しは理解できるのではないでしょうか。
関連する索引、その他です。
No12
記事種類
タイトル ムダ時間を消す「最強のマル裏時短術」 仕事編 コミュニケーション タイパを向上させる、上司の長話をかわすキラーフレーズとは? ※「お得意先から電話が入ったので、すいません」ほか
執筆者 ひろゆき
雑誌名
SPA!
発行日
2022年10月25日
ページ 36
備 考 交際,サラリーマン,上司と部下,処世術
No13
記事種類 書評/インタビュー
タイトル SUNDAY LIBRARY 著者インタビュー 稲田豊史『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ コンテンツ消費の現在形』光文社新書
執筆者 稲田豊史
雑誌名
サンデー毎日
発行日
2022年06月12日
ページ 79
備 考 映画
No14
記事種類 書評
タイトル Bookwormの読書万巻 新書 映画が倍速で「消費」されていく ※稲田豊史『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ コンテンツ消費の現在形』光文社新書
執筆者 佐藤健太郎
雑誌名
週刊新潮
発行日
2022年06月02日
ページ 104
備 考 映画
No15
記事種類
タイトル THIS WEEK 社会 東宝、松竹が5億円提訴した「ファスト映画」3人組の収支 ※ファスト映画をYouTubeに公開していたユーチューバー3人に損害賠償を求める裁判
執筆者
雑誌名
週刊文春
発行日
2022年06月02日
ページ 41
備 考 著作権,映画著作権