[雑誌、棚からひとつかみ ~“ノンフィクション雑誌”の巻~]
今回はノンフィクション雑誌を紹介します。といっても当館の主要所蔵雑誌一覧(ジャンル別)では、「ノンフィクション雑誌」というジャンルは作成していません。
「ノンフィクション」とは何か、については多く研究もされており、例えば武田徹さんの書かれた『日本ノンフィクション史』などを読むとなんとなくでも捉えることができます。しかしながら「ノンフィクション雑誌」とは何か、については定説は見つからず説明できません。
そのためジャンルで探すと“文学”“総合”“マスコミ・情報”あたりに含まれる、ノンフィクション記事が中心の雑誌をご紹介することになります。
ノンフィクション雑誌
・『G2(ジーツー)』発行:講談社
唯一見つかったノンフィクション雑誌(ノンフィクション・メディア)と宣言していた雑誌です。
『月刊現代』の後継誌としてスタートし、休刊号では佐藤慶一「ノンフィクションを読まない24歳web編集者がノンフィクション・メディアの未来について考えてみた」が掲載されています。
他の号にも話題をよんだ多くのノンフィクションの記事が掲載されています。
創刊号(2009年9月)から休刊号(2015年5月・19号)まで欠本なく所蔵しています。
雑誌記事索引はほとんど採録していません。
・『現代』発行:講談社
主要所蔵雑誌一覧では総合雑誌に分類されますが、多くのノンフィクション作品が掲載された月刊誌です。休刊後は『G2(ジーツー)』として刊行されました。2009年1月休刊号では重松清「特別企画 42年のクロニクル『現代』は何を伝えてきたか」や「ジャーナリストたちの証言 ノンフィクションの現在と未来」が掲載されています。
2009年5月に刊行された講談社MOOK『現代プレミア ノンフィクションと教養』には、座談・いとうせいこう/武田徹/重松清「ネット時代のノンフィクション その可能性と課題」など1冊すべてノンフィクション特集となっています。
創刊号(1967年1月)からほぼ欠本なく2009年1月号まで所蔵しています。
雑誌記事索引は採録しています。
・『文藝春秋ノンフィクション』発行:文藝春秋
雑誌の通巻番号は『文藝春秋』のものを引き継いでいます。ノンフィクション記事が大量に掲載されていますが、第2号には「ドキュメント大宅賞選考会 最終候補として残った7つの作品からいかにして『ミカドの肖像』『コンピュータ新人類の研究』が選ばれたのか 第18回大宅壮一ノンフィクション賞選考委員会の白熱した議論を敢えてここに誌上初公開!」という掲載記事があります。
1987年4月号(創刊号)~ 第3号(休刊号)を所蔵しています。第3号は『文藝春秋』臨増1988年8月20日号です。
雑誌記事索引は採録しています。
・『記録ジャーナル』発行:記録ジャーナル社
創刊号では当時大きな話題となっていた行政改革や、たばこの民営化について「特集 岐路に立つ専売公社」という特集が組まれています。
1982年6月創刊号から1987年12月号まで9冊所蔵しています。その期間に欠本は多くあります。
雑誌記事索引は採録していません。
・『記録』発行:記録の会
創刊号では土本典昭「水俣 映画記録者として」、本多勝一「ルポルタージュの方法 ①」、松浦総三「日本のルポルタージュについて 覚え書き(上)」などの記事が掲載されています。
1979年4月創刊号のみ所蔵しています。
雑誌記事索引は採録していません。
・『ノンフィクスナックルズ』発行:ミリオン出版
創刊号に座談・福田和也/朝倉喬司/元木昌彦「雑誌ジャーナリズムとノンフィクションを語る 孤高のジャーナリスト、本田靖春氏を偲んで」、『ザ・ハードコアナックルズ』に改題した休刊号に座談・岡留安則/鳥越俊太郎/元木昌彦「本誌最終号記念鼎談 反権力雑誌よ、どこへ行く」が掲載されています。
『ノンフィクスナックルズ』として2005年6月創刊号から12月号まで4冊所蔵しています。その後『ザ・ハードコアナックルズ』に改題して2006年2月号から8月休刊号まで4冊所蔵しています。
雑誌記事索引は採録しています。
・『中央公論』発行:中央公論新社
1887(明治20)年8月に『反省会雑誌』として京都で創刊しました。その後『反省雑誌』に誌名を変更、さらに編集部を東京に移転して『中央公論』に誌名を変更(1899年1月~)し刊行中です。現在刊行が継続中の当館所蔵雑誌では創刊が最古のものです。
当館では創刊号を所蔵していますが復刻版です。
創刊号~1914(大正3)年までは欠本がかなりあります。1915(大正4)年以降は、休刊期間を除いて通常号はほとんど欠本なく所蔵しています。
雑誌記事索引は採録しています。
・『文藝春秋』発行:文藝春秋
1923(大正12)年1月創刊号から最新号まで所蔵しています。創刊号は原本です。
通常号の欠本はありません。
雑誌記事索引は採録しています。
・『改造』発行:改造社
『中央公論』や『文藝春秋』と並び称される総合雑誌。
1919(大正8)年4月創刊号から1955(昭和30)年2月休刊号まで所蔵しています。欠本はたくさんあります。古書として収蔵したためか大量に書き込みされています。欠落ページも多いのでお探しの記事が見つからないこともあるかと思います。
雑誌記事索引は一部採録しています。
・『マルコポーロ』発行:文藝春秋
1995(平成7)年2月号に「戦後世界史最大のタブー。ナチ「ガス室」はなかった。」が掲載され、この号で休刊となりました。
1991(平成3)年6月創刊号から1995(平成7)年2月休刊号まで所蔵しています。
雑誌記事索引は採録しています。
・『DAYS JAPAN』発行:講談社
1988(昭和63)年4月創刊号~1990(平成2)年1月休刊号まで所蔵しています。
1988年1月発行のテスト版も所蔵しています。
※発行元がデイズジャパンで、同じく『DAYS JAPAN』(2004年4月創刊)という報道写真中心の雑誌がありますが、講談社のものとは違うようです。
雑誌記事索引は採録しています。
・『VIEWS (ビューズ)』発行:講談社
1991(平成3)年11月13日創刊号~1997(平成9)年8月休刊号まで欠本なく所蔵しています。
雑誌記事索引は採録しています。
・『新潮』発行:新潮社
文芸雑誌に掲載された大宅壮一の初期の文芸評論「文壇ギルドの解体期」が掲載された1926(大正15)年12月号など、1904(明治37)年5月創刊の月刊文芸雑誌です。
1904(明治37)年9月~2019(平成31)年1月まで所蔵しています。1945(昭和20)年10月までは欠本がかなりございます。1946(昭和21)年以後はほとんど欠本なく所蔵しています。
雑誌記事索引は採録しています。
・『小説すばる』発行:集英社
1987(昭和62)年12月創刊号~2018(平成30)年12月号までほぼ欠本なく所蔵しています。
雑誌記事索引は採録しています。
・『Kotoba』発行:集英社
2010(平成22)年10月創刊号~2019(平成31)年1月号まで欠本なく所蔵しています。
雑誌記事索引は採録していません。
・『考える人』発行:新潮社
2002(平成14)年8月創刊号~2017(平成29)年5月最終号まで所蔵しています。
休刊後は『Webでも考える人』というサイトで魅力的な記事が掲載されています。
雑誌記事索引は採録しています。
・『小説現代』発行:講談社
1963(昭和38)年2月創刊号~2018(平成30)年10月休刊号までほぼ欠本なく所蔵しています。 ※2020年3月にリニューアル創刊の予定だそうです。
雑誌記事索引は採録しています。
・『新潮45』発行:新潮社
1982(昭和57)年5月創刊号から2018(平成30)年10月休刊号まで欠本なく所蔵しています。創刊時は『新潮45プラス』として刊行されましたが、1985年5月より現在の雑誌名に変更されました。掲載記事が様々な議論を呼び起こし、休刊したことは記憶に新しいです。
雑誌記事索引は採録しています。
・『SAPIO』発行:小学館
写真週刊誌『TOUCH』の後継雑誌として刊行されました。紙質は『TOUCH』と同様の雑誌ですが、写真だけではなくノンフィクション記事が多数掲載されています。
1989(平成1)年6月8日創刊号~2018年12月号まで所蔵しています。以後は不定期刊となるようです。通常号は欠本なく所蔵しています。
雑誌記事索引は採録しています。
・『諸君』発行:文藝春秋
1969(昭和44)年7月創刊号~2009(平成21)年6月休刊号まで欠本なく所蔵しています。
雑誌記事索引は採録しています。
・『婦人公論』発行:中央公論新社
戦前から発行している当館所蔵の継続中の女性雑誌で、おそらく冊数が一番多いものと思われます。
1916(大正5)年1月創刊号~2019(平成30)年1月4日号まで所蔵しています。
欠本は下記のとおりです。
1924(大正13)年6月・7月・8月、1930(昭和5)年1月、1934(昭和9)年9月・10月、1940(昭和15)年9月・10月・11月・12月、1943(昭和18)年9月・10月、1966(昭和41)年9月。
雑誌記事索引は採録しています。
※発行元は所蔵している最新号に基づいています。
2018年12月15日現在
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