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- 記事種類
- インタビュー/書評
- タイトル
- クローズアップニッポン 著者インタビュー 望月昭秀ほか『土偶を読むを読む』 謎に満ち満ちた縄文の「なぜ」に魅せられて ※『土偶を読む』への反論の書を編んだ
- 発言者
- 望月昭秀
- 雑誌名
- プレジデント
- 発行日
- 2023年08月18日
- ページ
- 106
- 備 考
- ‖望月昭秀[編集者,ブックデザイナー]‖
『土偶を読むを読む』の前半は「検証」で、主に指摘するのは「類例」と「編年」の照らし合わせの少なさです。ある食材と似ていると例に出された土偶は「類例」の中の1例で、結論に合うようなものを選んでいるように思えるそうです。またどんな手法を使った考察であってもどこかのタイミングで編年に照らし合わせる作業が必要で竹倉説にはそれが欠けているそうです
また『土偶を読む』を評価した専門外の知識人への批判も記述されています。自身がジャンルの専門外であること前提にした上で評価すべきだと指摘しています。
後半は9人の専門家が論考をよせていて、これまでの土偶研究の流れや、なぜ専門外の識者やメディアは評価したが「専門家」が取り合わなかったのかも対談・座談形式を含めてわかるようになっています。
特におもしろかったのは東京都立大学人文社会学部教授の山田康弘さんの、「一般書」と「学術書」を区別する必要があるというお話でした。「学術書」には参考文献の記載方法に、ある一定の体裁があり『土偶を読む』の参考文献の記述では「学術書」とは判断しづらいそうです。
一方「一般書」でしたら個人の考えを過去の流れや参考文献などを踏まえずに書くことができます。専門家は「学術書」とはとらえなかったということでしょう。
とはいえ、『土偶を読む』で土偶に興味を持った人はたくさんいますし、『土偶を読むを読む』でもより興味は深まったのではないでしょうか。一般の読者でも両方を読み縄文時代に思いを馳せるのは楽しいことです。