「炎は流れる 明治と昭和の谷間」③

書誌情報

昭和39年  7月10日発行(1964)
著作者 大宅壮一
発行者 上林吾郎
印刷所 凸版印刷
発行所 文藝春秋新社
14cm×20.4cm(函入 ハードカバー)、本文256頁

 
目次

使節の見た海外事情 大西洋・ジャワ・香港を目のあたりに見た日本人の実感
 一人あたり二トンのみやげ
 石炭も尽き、むなしく漂流
 黒人は獣に近き人物なり
 日本をめぐる英米のサヤあて
 初めて信号旗を知る
 日本の商品が進出
 “本土人よりも慕わしくとて……”
 日本の新聞発祥地
 新聞の威力を知らされる
 悪疫役と不満の島香港
 アヘンとクーリー貿易

琉球出身者の忠誠心 戦後発生した“勝ち組”の多くは琉球出身者だった理由
 異常な琉球人の忠誠心
 ナポレオンも驚く
 ねらいは密貿易
 “複数従属の国”琉球
 政権交代期の珍事件
 過酷な十五条の布令
 大きかった密輸利益
 日琉同祖論の動機
 日本にたいする足がかり
 ぬけめのない斉彬

両属性と琉球の悲運 二つの強国の間にあって振り子のように動く地理的条件
 百年前からの“基地”の運命
 日本を祖父とせよ
 琉球に武器を購入させる
 通訳の悲運な死
 ついに独立をうしなう
 行政機構も日本式に
 日本へのレジスタンス
 日本にたいする忠誠心
 日本復帰を拒むものも
 形を変えた両属性

近代日本の百年戦争 開戦と終結のうけとり方でちがう百年戦争の歴史的意義
 出張手当ての最高記録
 追いつめられて戦いへ
 世にも奇妙な戦争
 攘夷の不可能を知る
 百年戦争の火ぶた
 馬関戦争の傑作・木製砲
 軍艦の第一号完成
 外敵はいずれも下関海峡へ
 もしも神風が吹かなかったら
 敗戦が生む忠臣思想

特異な産物・奇兵隊 実力本位にして戦争をスポーツ化した高杉晋作の奇略
 性格型の典型高杉晋作
 酒と女に入りびたる
 奇兵隊の編成へ
 撰鋒隊戦意なし
 実力本位ですべて平等
 ヒントは長髪賊
 ふるいたった女性軍

日・韓併合の舞台裏 憎み合ってもわかれることの出来ない運命共同体の関係
 根強い排日感情
 長州と韓国の深い関係
 昔も二つの朝鮮
 地からわいた神
 最大の名物は女
 ロマン・キムの数奇な運命
 博文をめぐる四人の女性
 秀吉なみのはなれわざ
 大義名分に反した併合

朝鮮統治二つの世論 二つの世論にあらわれている日本の対韓政策失敗の原因
 島国からの脱皮
 世論は極端に対立
 命とひきかえに妻を
 変らぬ征服者の心理
 ウソで固められた外交
 貧乏人はチョンガー
 妓生の養成学校
 たいこもちから伯爵に
 日本の怒りで王位交代

根強く残る対日敵意 伊藤博文の暗殺者がたちまち全朝鮮の偶像となった背景
 スパイと娼婦気質の日本人
 京城は平静だったが
 朝鮮美人のいない理由
 李太王の反日策略
 富をかくすための不潔
 祖国を裏切った宋秉畯
 併合費用を値切る
 明石のめざましい働き
 反乱軍に大量の武器を売る
 日韓併合の難局を収拾
 ロシア的な装飾心理
 史上最高の言論統制
 大規模だった“万歳事件”

間島ソビエト探訪記 朝鮮の北部にできた知られざる“ソビエト地区”の実態
 辺境に“抗日組織”
 間島ソビエトの勢力
 ひそかに成長していた独立朝鮮
 エネルギーのはけどころ
 匪賊の銃声にあわてる
 軍人以外の初の日本人として
 私娼窟にも諜報網
 白馬に乗った美人頭目
 夜の山に発光信号
 幼稚園もある最前線

二つの朝鮮の宿命 四十年も前からくすぶっていた朝鮮二分の悲しい必然性
 ヒゼンだった吉田松陰
 幕末すでに共栄圏思想
 リセンドルの引きとめ工作
 リセンドルの遺児が羽左衛門
 尾崎秀実と敏子の宿縁
 静かな民衆の抵抗
 祖国を追われて外地へ
 “大陸浪人”の活躍
 日露さけられぬ戦いへ
 久原の“アジア合衆国”案
 対立のままの“名所”になる

あとがき

「炎は流れる」②

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